ピアノは小さい頃からやらないと、指が動かない?
「ピアノは指の軟らかい小さいうちからやらないとダメなの。」
「大人になると、指が硬くなって思うように動かなくなってしまうから。」
そんな事を、私も小さい頃に言われた気がするし、
世間の多くの人の頭にもこの概念があると思う。
本当にそうなのだろうか?
もし本当だとしたら、どの程度に硬くなるのだろう?
それは訓練によって、かなり克服可能なのだろうか?
可能とすれば、どの程度まで行くのだろう?
指が動かなくなると、本当にピアノは楽しめないのだろうか?
指が軟らかく、情操が育ち、絶対音感のつく幼児期から習うメリットばかり取りざたされるが、
人生後半で習うメリットは無いのだろうか?
どの年齢にも同じようにメリット、
いえ、その年齢にしかないメリットというのが必ずきっと・・・。
幼児音楽・早期教育の分野はずいぶん研究され、
様々なメソッドが開発されており、データも豊富である。
「幼児音楽科」を設置している音楽大学はたくさんあるのに、「高齢音楽科」など聞いた事も無いのはもちろん、
「幼児音楽」「早期教育」に対して、高齢者音楽(?)遅期教育(?)などという言葉すら存在しない。
したがって指導法メソッドもデータも無い。
(かろうじてこのような試みをしたという報告がある程度))
絶対音感も、情操も、リズム感も、指を動かす筋力も、
ある程度の年齢を過ぎてしまっては「あまり進歩は望めないであろうから。」
「今さら、始めても・・・」というのが理由かもしれない。
「専門家になるため」「音大受験のため」「資格取得して職業にするため」「コンクール入賞のため」には、
小さいうちから習うという考えも、もっともであり否定出来ない。
しかし、上手か下手かとか、曲の難易度が高いか低いかとか、そんな事に関係なく、
もっと、「楽しいから」「心が安らぐから」「心のために」「自分が弾きたいから」弾く・・・
というのが、それこそ本当なのではないか?
いえ、そちらの方が音楽する事の本来の意義なのではないだろうか?
・・・そんな、今まで考えもしなかった疑問を私は抱き始めていた。
未知の領域
60歳以上で習い始めて、どのように指導すると一体どのように弾けるようになるのだろう?
シニアにはシニアなりの弾き方、指に負担の少ない楽な奏法というのがあるのではないだろうか?
どんな良い効能があるのだろう?どんな指導法が適しているのだろう?
どんなに大変かしら?そして、どんなに楽しいのだろう?
・・・私の興味はどんどん膨れ上がってしまった。
とはいえ、指導書も無ければデータも無く、何も解らない。お先真っ暗の未知の領域。
でも、だからこそ私の「知りたい!」という好奇心は益々高まるのであった。
データが無いなら自分でデータを集めよう。
指導法メソッドが無いなら自分の頭でカリキュラムを考えよう。
テキストが無いなら自分でノーテーションソフトで作ろう。
私は決めた。
この未知の領域のレッスンを・・・実践してみよう!!
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